村山早紀 桜風堂ものがたり PHP が贈る書店員への応援歌
おはようございます。
ずいぶん涼しく秋らしい天気になりました。朝は早くに起きて、2時間ほど子どもと散歩に出かけます。空気が澄んでいるので、心も身体も朝を感じて元気になります。
桜風堂ものがたり、読んだ方も多いかと思います。私にとって、この本は書店員さんへの応援歌であり、お客様にとっては、声に出して語れない書店員さんからの想いを代弁している本であると思いました。
先日も当店で悲しくも万引きがありました。たまたまお店にいたお客様がよく知っていらっしゃる家の人だったので、悪気はなかったと語ってくださいましたし、事なきを得ましたが、やはり悲しい事実であります。
書店にとって万引きは、皆様が思っているよりもずっと苦しいことなんです。
この物語は、月原一整という書店員が、万引き事件を切っ掛けとして10年勤めた勤務先を退職するというところから始まります。他人事ではない物語。書店員なら、のめり込んで読むかもしれません。本屋が好きな方も、夢中になって読むかもしれません。
書店員を長く勤めると、本屋の持つ独特な空間もそうですが、本たちが織りなす光や、呼び込む偶然、そして、自分が見つけた宝物のような本が目の前で売れていくのをみていく感覚から離れがたくなるのです。本当に素敵で特殊な感覚なので、味わったことのある人だけが分かるものなのだと思います。
不思議な感覚や出来事が、桜風堂ものがたりには、リアルに描かれていて、たくさん、たくさん話を聞いたのだろうなと思わせるものがありました。
自分の書店を持つことは、誰でも一度は夢見ることです。
私も、こうして架空の書店を作っているものの、リアルには程遠いです。手をかけてあげることが、棚が輝く大前提。その場所がないのは、とても寂しい気持ちになります。
私は今、ここでこうして、実際に会えなくても言葉を紡いでいければ満足です。お客様が会いに来てくれたら、もっと嬉しいけど、欲張ってはいけません。
一つ一つ大切に、日々ぷかぷかと生きていけたらなんて願っています。
いつか、この宇治書店で会話が出来るといいのにな、なんて夢見てます。ゆっくり歩んでいきましょう。
またのご来店をお待ちしております。