エーリヒ・ケストナー 作 池田香代子 訳 飛ぶ教室 岩波少年文庫
いらっしゃいませ。今晩は。
本を読むための、まとまった時間がなかなか取れずに日々を過ごしていましたら、あっという間に2016年が終わり2017年へと移り変わっておりました。
書店員として働いていると、たくさんの本と出会います。売るために、どう展開していくかが大事なので、新刊は限られた時間の中でやりくりしながら、読んでおりました。過去に発売された名作、気になっていてもなかなか読めずに過ぎ去る毎日。そんな日々が続いていました。
本日の天候は風が強く外では遊ばせにくいため図書館へ向かいました。子どもの本を借りる際、ふと目についた作品が「飛ぶ教室」でした。あれ、どんな話だったかな?と感じたのが切っ掛けで、借りて読んでみました。
一言でお伝えすると、感動しました。ものすごく。
言葉の一つ一つが、本に埋もれる仕事である私の心に、すっと染み込んでくるのです。読み進めるうちに、言葉が花開くといいますか 少しずつじんわりじんわり溶けて ラストはもう胸がぎゅっと苦しくなるくらいの感動で、いま、読めてよかったと思いました。
ケストナーさんは、ナチス政権の手中にあるドイツに対して、勇気を出して本という力を借りて、大声で何が大切かを叫んでいたのだと思うと「アンネの日記」が幼心に震えたように「飛ぶ教室」もまた、大人が改めて読むべき本であると感じました。クリスマスはもう過ぎてしまいましたが、時折ゆっくり大切なものがなんなのか考える時間を持てる大人でありたいと、思わせてくれました。自分への最高のクリスマスプレゼントになるだろうと思います。
本にはタイミングがあると信じています。その人が求めていることを本が教えてくれる。
今月の末に小学館から夏川草介さんの新刊が発売されます。そちらの本とも似通っているかもしれません。
今年の目標は
育児の手を抜く
行きたいところ、やりたいことに挑戦する
と決めた瞬間出会った本でしたので、本人が一番ビックリしています。少し自分自身の中で考えていることに不信感を持ってしまっていた矢先でしたので勇気がでました。
本はいつも私を助けてくれます。
本は生きています。だから、何を読めばいいか分からなくなったら、心の声に耳を傾けてみてください。きっと、本の方から傍にきてくれるはずです。
当店に来てくださるお客様の中にも、救われる一冊がありますように。